土方が31歳からwebライター始めてみた

製造、土方をやっていて、パソコンすら持っていなかった31歳がwebライターを始めます。

私をくいとめて

先週見た映画のタイトル。かなり良かったのでその感想。

このブログを見てる人は私本人だけだろうが、念の為ネタバレも含まれるかもしれないことを言っておく。

 

主演はあまちゃんなどで有名な、のん

 

しばらく恋人がおらず「おひとりさま」に慣れていく30過ぎの主人公の女性。

それでも焦りや寂しさ、不安からか、頭の中で自分を肯定する自分を作って会話し慰めたり、励ましてもらいながら日々を過ごす。

 

過去のトラウマや、自己愛の低さからなる後ろ向きな姿勢でいながらも自分を肯定する自分に背中を押してもらったりして物語は進む。

 

周囲や自分を見ても30過ぎの人が「おひとりさま」であることの価値観は男女で大きく異なると思う。

それは私がそう思っているとかではなく、本人自身の価値観の話である。もちろんそれは周囲、世間の考えが大いに影響してるんだろうけど

 

とにかく、そう言った意味で、男である私は丸ごと感情移入して主人公の気持ちになれないかもしれないが、どうにも今回は主人公の気持ちになって感情を揺らされたとしか思えない。

主人公に感情移入をすることはあっても、女性を主人公にした話でここまで感情移入することはほとんどなかったと思う。どうしても客観的になってしまうからだ。

今回そうはならなかったのは、確実にのんさんの演技が大きな要因だった。

 

この人は誰かになりきる、憑依して演じるのではなく、自分の心にあるエネルギーを演技にフルで放出できる人なのではないかと思う。

私はあまり演技力を気にする人間でもないし、上手い下手も対して気にならない。そもそもキャストでドラマや映画を観ることが少ない。

基本的には内容が面白そうかどうかが殆どの割合を占めていて、はっきり言ってのんさんのファンでもなんでもないし、主人公がこの人だってことも見てる途中で気がついたくらいだ。

そんな自分が自然とこの人すごいなと思った。

 

演技力以上に力(ちから)がある人だ。胸が苦しくなったり、腹がたったり、主人公に恐怖を覚えたりもした。もちろん、演出もストーリーも評論家ではないからなんとも言えないけどよかった。この人をキャスティングしてちからを引き出したのが当然凄い。

最近の映画にあまりない、間や雰囲気で魅せる場面も多いのも良かった。

 

ただどうしても演技の良さをダントツに伝えたい。上手いかはわからないけど、凄いのは確かだと思う。

女性目線で男に心から腹が立って、なんて醜くて下劣でどうしようもない生き物なんだと感じたことは初めてのことだった。

 

男ならではのしょうもない下劣な部分は自分にも沢山合って、全くの他人事として見れない節が合った。でも今回は主人公と同じ気持ちで心底許せない感情に満ちていた。こんなこと言っても本当の気持ちなんて男に分かるわけないと思われるかもしれないが、あの時の自分は確かに女性だった。

こんなにも主人公の女性に感情移入して心からハッピーエンドであれ、と願ったのは生まれて初めてだ。

 

次にのんさんの作品が出る時は内容はどうあれ映画館で観る。キャストで映画を観る。